ドイツ ブンデスリーガ「リーグガイド・日本人&注目選手」
見どころ -Highlights-
前半戦首位はレヴァークーゼン! 12連覇目指すバイエルンの逆転優勝はあるのか!?
堂安・板倉・浅野・伊藤らの日本人選手にも期待! 期待の19歳・福田はトップ昇格
激しい一対一をベースに展開される攻撃的なサッカーは、熱狂的なサポーターが集結するスタジアムの雰囲気と相まって、かつてシャルケに所属していた内田篤人が「まるで闘技場」と表現するほど。近年はブンデスリーガから新たな戦術が生まれることも多々あり、戦術マニアから見ても目が離せないリーグである。
1月を終えて首位に立っているのは昨季6位のレヴァークーゼン。シャビ アロンソ監督率いるチームは昨季から高い評価を受けていたが、今季は開幕から絶好調。20歳にしてドイツ代表にも名を連ね、"ワンダーボーイ"と呼ばれて注目を浴びているMFヴィルツに加え、今季新加入のMFホフマン、ジャカらを中心に安定した戦いを披露し、いまだ無敗をキープしている。
僅差の2位は12連覇を目指すバイエルン。新加入のイングランド代表FWケインが得点を量産してランキングトップを走り、チームとしても調子が悪いわけではないが、レヴァークーゼンを追いかける形となっている。終盤戦に向けて、王者の底力が試されることになる。
この2チームに続くのが、3位シュトゥットガルト、4位ドルトムント、5位ライプツィヒら。ドルトムントでは、マンチェスター・ユナイテッドからレンタル移籍でイングランド代表FWサンチョが2年半ぶりにチームに復帰しており、その活躍に注目が集まる。
そして、多数が活躍する日本人選手にも大注目。2022年のカタールの地で大きなセンセーションを巻き起こした日本代表のメンバーも数多くブンデスリーガに所属している。
まず、フライブルクには、カタールでのドイツ戦・スペイン戦でゴールを決めて世界中にその名を轟かせた堂安律。フランクフルトではブンデスリーガ最年長選手となる40歳の長谷部誠が今季もプレー中。ボルシアMGでは板倉滉が守備陣の要として存在感を発揮し、将来を嘱望される19歳FW福田師王が1月にトップチーム昇格を勝ち取っている。
また、昨季最終節でチームを残留に導く1ゴール1アシストを記録した快速ストライカー浅野拓磨はボーフムで3年目をシーズンを戦っているほか、1月を終えて3位と絶好調のシュトゥットガルトでは伊藤洋輝が守備陣を支え、昨季途中に加入した原口元気も出場機会を手にするべく奮闘している。
世界から集まった猛者と、ドイツの地で躍動する日本人選手たち。後半戦もブンデスリーガから目が離せない。(2024年2月1日時点)
必見のプレーヤー -Featured Player-
日本人注目選手
堂安 律
(どうあん りつ)- フライブルク
- 生年月日:1998年6月16日
- ポジション:MF
カタールでの大舞台で迎えたドイツ戦とスペイン戦で、ともに0-1の劣勢から左足で同点弾を決めるという類まれな勝負強さを披露し、日本代表のベスト8進出の立役者となった堂安。6月の親善試合では10番を背負い、今後の日本代表の中心選手であることを内外に示してみせた。
昨季は移籍初年度ながらリーグ戦33試合出場5得点6アシストを記録し、リーグ戦5位に躍進したフライブルクの攻撃陣の核として活躍。UEFAヨーロッパリーグにも出場する今季、更なる経験を積んで飛躍を果たす堂安の姿に期待したい。(2023年8月4日時点)
板倉 滉
(いたくら こう)- ボルシアMG
- 生年月日:1997年1月27日
- ポジション:DF/MF
一昨季にシャルケの1部復帰に貢献して迎えた昨季、強豪ボルシアMGに完全移籍を果たした板倉だが、シーズン序盤で大きなケガを負ってしまう。しかし、懸命のリハビリでカタールでの大舞台に何とか間に合わせ、CBとして日本代表の16強入りに貢献すると、再開後のブンデスリーガでもポジションを掴み、守備の要として活躍してみせた。
186cmと長身ながらDFとボランチの両方をこなせるポリバレント性もある板倉。ブンデスの名門クラブで移籍1年目からファンに認められる活躍を見せただけに、今年はもう一段階上の活躍を期待したい。(2023年8月10日時点)
福田 師王
(ふくだ しおう)- ボルシアMG
- 生年月日:2004年4月8日
- ポジション:FW
19歳にしてU-22日本代表にも選出されるなど、将来を嘱望される福田が名門ボルシアMGのトップチームに昇格。日本代表の板倉滉の同僚として、今季残りシーズンを過ごすことになった。
神村学園高時代には冬の選手権で得点王に輝くなど、高い評価を得ていた世代屈指のストライカーが多くの選択肢から選んだ道は、Jリーグ入りではなくドイツ名門クラブの下部組織からの挑戦。高校卒業前の1月にチームに合流して同世代のU-19チームで結果を残し、今季開幕からはU-23チームの一員として活躍をみせると、渡独からわずか1年でトップチームへの切符を勝ち取った。
とはいえ、まだ福田は発展途上の選手であり、ここから今季終了まで将来性を見極められることになる。まだ時期尚早とみなされれば、来季は再びセカンドチーム行きや他チームでの武者修行となる可能性も十分にある。まずは少しでも出場機会を手にして、チーム内外にインパクトを残して欲しいところだ。(2024年1月19日時点)
長谷部 誠
(はせべ まこと)- フランクフルト
- 生年月日:1984年1月18日
- ポジション:MF/DF
現時点でブンデスリーガ出場370試合を超え、アジア出身選手としての歴代最多記録を更新し続ける日本のレジェンド。昨季は負傷の影響もあってリーグ戦18試合出場に留まったが、自身として13季ぶりとなるUEFAチャンピオンズリーグでも4試合に出場。危険を察知していち早くポイントに入るポジションニング、そして攻撃の起点となる気の利いたパスを披露し、今もチームにとって貴重な存在であることを印象付けた。
そしてブンデスリーガでの17年目、39歳となった今季もリーグ最年長選手として、その鉄人ぶりに注目が集まる。引退も考えていたが、UEFAチャンピオンズリーグの決勝トーナメントで試合に出場できなかったことに悔しさを感じ、そのことが今季も現役続行の決断につながったと自身が語るように、更なる進化への想いを胸に抱いて日本のレジェンドが新シーズンに臨む!(2023年8月10日時点)
伊藤 洋輝
(いとう ひろき)- シュトゥットガルト
- 生年月日:1999年5月12日
- ポジション:MF/DF
2022年6月に日本代表デビューを果たすと、そのままカタールの大舞台にも参加した伊藤。大きな経験を胸に、ブンデスリーガでの3シーズン目の舞台に身を投じることになる。
一昨季に当時J2のジュビロ磐田から期限付きでシュトゥットガルトに移籍した当初は、U-21チームで将来を見据えて武者修行する予定だった伊藤だが、すぐにトップチームデビューを果たしてポジションを掴むと、昨季もリーグ戦30試合出場とDFラインの一員として活躍した。
元々はボランチとしてデビューしただけにボール扱いは巧みで、利き足の左足から繰り出させるロングドフィードは高精度を誇り、188cmの長身で空中戦も戦えるという貴重な存在。どのチームでも欲しい能力を持っているだけに、クラブでも日本代表でも更なるステップアップを期待したい。(2023年8月10日時点)
原口 元気
(はらぐち げんき)- シュトゥットガルト
- 生年月日:1991年5月9日
- ポジション:MF
今季でドイツ生活10年目を迎える原口。昨季はシーズン途中にウニオン・ベルリンからシュトゥットガルトへ移籍し、今季も同クラブの一員としてシーズンに臨むことになる。昨季は両クラブ併せてリーグ戦22試合出場0得点に終わっただけに、今季にかける想いは強いはずだ。
やんちゃなアタッカーという印象の強かった原口も今や32歳。助っ人として常に活躍が求められる厳しい環境の中で肉体・精神ともに成長を遂げ、抜群のスタミナで攻撃でも守備でもチームのために献身的に走り回る。ベテランと呼ばれる年齢に差し掛かった原口の新境地に期待したい。(2023年8月10日時点)
浅野 拓磨
(あさの たくま)- ボーフム
- 生年月日:1994年11月10日
- ポジション:FW
9月に右ヒザの内側じん帯を断裂という大ケガを負い、カタール行きは絶望的と思われた浅野だが、驚異的な回復を見せて日本代表入りを果たすと、ケガ明け初戦となったドイツ戦で世界中を驚かせる逆転決勝ゴールを奪い、一躍時の人となった。カタールでの熱狂を経て迎えた昨季後半戦では、最終節で1ゴール1アシストを記録し、チームを降格の危機から救う立役者となった。
ボーフムに復帰してからの過去2シーズンでは、リーグ戦52試合出場6得点6アシストという数字であり、ファンとしてはもっと得点に絡む姿が見たいところ。3年目を迎える今季、トップクラスのスピードを生かしてのゴール量産に期待したい。(2023年8月10日時点)
ハリー ケイン
- バイエルン
- 国籍:イングランド代表
- 生年月日:1993年7月28日
- ポジション:FW
絶対的なセンターFWを欲していたバイエルンに、現イングランド代表最強ストライカーが電撃加入。プレミアリーグ213ゴールを誇り、長年トッテナムをエースとして引っ張って来たケインが、今まで縁のない優勝トロフィーを求めて、ドイツ最強クラブへの移籍を決断した。
12連覇を目指すバイエルンにとっては、昨季に鳴り物入りで加入したマネがケガの影響もあってチームにフィットできず、わずか1年で移籍。心許なかったセンターFWのポジションに、ケインはこれ以上望めない補強となった。150億円以上とも報じられる移籍金から、バイエルンからの期待の大きさは十分に伺える。
ケインが下部組織から所属して主将を長年務めてきたトッテナムを出たのは、今まで経験したことのない「タイトル獲得」に向けて並々ならぬ決意を持ってのことだろう。今シーズンが終わったとき、この男の手にトロフィーは果たして握られているのか!?(2023年8月16日時点)
ジャマル ムシアラ
- バイエルン
- 国籍:ドイツ代表
- 生年月日:2003年2月26日
- ポジション:FW/MF
カタールでの大舞台では、まさかのグループリーグ敗退となったドイツ代表にとって、一筋の光明となったのがムシアラの存在だ。華麗なステップで何度も相手守備陣を切り裂く姿は、これから再スタートを切るドイツ代表の新たな攻撃の中心選手として相応しいものだった。
2019年にチェルシー(イングランド)からバイエルンにやってきたムシアラは、翌年には17歳115日というバイエルン史上最年少でブンデスリーガデビューを果たすと、その後も順調に試合出場を重ね、そして迎えた昨季にリーグ12得点10アシストと大ブレイク。シーズン最終節の試合終盤にはバイエルンを逆転優勝に導くゴールを決め、今後のチームの主役としての姿を強く印象付けた。
バイエルンにおいてもドイツ代表においても弱冠20歳にして確固たるポジションをつかんだムシアラだが、その伸びしろはまだ天井知らず。これから世界的スター選手に育つであろう新星の姿を見逃してはいけない。(2023年8月16日時点)
ヨズア キミッヒ
- バイエルン
- 国籍:ドイツ代表
- 生年月日:1995年2月8日
- ポジション:MF/DF
バイエルンとドイツ代表の中盤のリーダーとして世界中から高い評価を受けるキミッヒ。フィジカルが特段優れているわけではないが、類まれなサッカーIQと正確なプレー、そして鋼のメンタルを持ち味に本職のボランチからサイドバック、攻撃的ポジションまで、フィールドのあらゆる位置でプレーをこなす。
シュトゥットガルトの下部組織で育ち、ライプツィヒでプロデビュー。2015/16シーズンに弱冠20歳にして当時バイエルン監督だったグアルディオラに見いだされ、移籍初年度から頭角を見せると、年を追うごとにアシストと得点という目に見える数字も増やし、今ではバイエルンとドイツ代表の中盤のリーダーとして高い評価を受けている。どんな時もぶれることなく、チームを勝利に導くキミッヒのゲームメイクに注目して欲しい。(2023年8月16日時点)
カリム アデイェミ
- ドルトムント
- 国籍:ドイツ代表
- 生年月日:2002年1月18日
- ポジション:FW
昨季は勝てば優勝の最終節で引き分けに終わり、あと一歩でリーグ制覇を逃したドルトムント。今シーズンこそバイエルンの牙城を破るためには、21歳のスピードスター・アデイェミの更なる活躍が求められる。
昨季にチームに加わったアデイェミは序盤こそ苦しんだものの、リーグ後半戦から本領を発揮。ブンデスの高速スプリント記録で歴代1位を記録するなど自慢のスピードを発揮すると、リーグ戦6得点5アシストを記録したほか、UEFAチャンピオンズリーグのベスト16ではチェルシー相手に自陣からのドリブル独走によるスーパーゴールを決めて、世界中のサッカーファンを驚かせた。
ドルトムントでの2シーズン目となる今季、アデイェミにボールが渡るたびに、サポーターからは期待の歓声が上がることだろう。アデイェミにとって真価を問われるシーズンが始まる。(2023年8月16日時点)
マルセル ザービッツァ
- ドルトムント
- 国籍:オーストリア代表
- 生年月日:1994年3月17日
- ポジション:MF
まだライプツィヒが2部だった2015/16シーズンにドイツデビューを果たすと、主力として同クラブの躍進に大きく貢献したザービッツァ。2021年に移籍したバイエルンでは輝けず、昨季途中には失格の烙印を押される形でマンチェスター・ユナイテッドへの期限付き移籍となったが、今季はバイエルンのライバルであるドルトムントに完全移籍して、ブンデスの舞台に帰ってきた。
ライプツィヒ時代は、高水準のドリブル、パス能力に加え、2列目からの飛び込みとミドルレンジから放たれる強烈な右足でゴールを量産した。様々なポジションでプレーでき、全てのプレーを高次元で融合し、豊富な運動量で攻守にさぼることがない。実力さえ発揮できれば、昨季あと一歩で優勝を逃したドルトムントにとってこの上ない補強となることだろう。(2023年8月16日時点)
チャビ・シモンズ
- ライプツィヒ
- 国籍:オランダ代表
- 生年月日:2003年4月21日
- ポジション:FW/MF
バルセロナの下部組織時代から“神童”と謳われたチャビ・シモンズがブンデス上陸。パリサンジェルマンからの期限付き移籍という形で、今季はライプツィヒでプレーすることとなった。
将来を嘱望されてきた原石が、昨季は母国PSVで19ゴールを挙げる活躍を披露してオランダ・エールディビジの得点王に輝いたほか、カタールでの大舞台でオランダ代表デビューを果たすなど、ついにブレイク。本物であることを世界にアピールして見せたため、古巣のパリサンジェルマンも放っておけず再びチームに迎え入れた。
ライプツィヒへの期限付き移籍という、ある意味のテストを与えられたオランダの宝石にとって、今年は重要な一年となる。天から与えられた足元の技術を強靭なブンデスリーガの守備陣相手に披露できれば、スター選手への切符は約束されたものになるだろう。(2023年8月16日時点)
ヨナス ホフマン
- レヴァークーゼン
- 国籍:ドイツ代表
- 生年月日:1992年7月14日
- ポジション:MF
ボルシアMG攻撃陣を長年に渡ってけん引してきたホフマンが移籍を決断。今季からは昨季6位レヴァークーゼンの一員としてブンデスリーガを戦うことになった。
中盤からサイドまで複数のポジションをこなせる戦術眼と豊富な運動量を武器とするホフマンは、派手なプレーが多いわけではないが、攻守で重要な局面に顔を出すことができる貴重な存在。いぶし銀ともいえるプレースタイルで玄人受けするタイプだったが、昨季はリーグ戦12得点10アシストと目に見える結果を残し、30歳を超えてからも進化を遂げていることを内外にアピールした。
レヴァークーゼンを率いるシャビ・アロンソ監督にとっては、献身的でありながら高い数字も残せるホフマンの加入は大きな喜びのはずだ。期待に応えるべく、新天地でピッチを駆け回るベテランの姿にファンもすぐに魅了されることだろう。(2023年8月16日時点)
チーム一覧 -Team List-
DFL/Getty Images/Christian Kaspar-Bartke/Daniel Kopatsch/Christof Koepsel/Lukas Schulze/Ronny Hartmann