特集インタビュー&コラム|#サッカーが待ちきれない「【デア・クラシカー特集コラム】今季の行方を占う頂上決戦が5/26(火)キックオフ! ライバル関係の歴史を探る」

特集インタビュー~サッカーが待ちきれない人たち~
インタビュー&コラム -サッカーが待ちきれない人たちへ-2020/05/25
【デア・クラシカー特集コラム】今季の行方を占う頂上決戦が5/26(火)キックオフ! ライバル関係の歴史を探る

20200525bundes_01写真:アフロ


コロナ禍のなか、9週間の中断を経て再び動き出したブンデスリーガ。5月26日の火曜日には、ブンデスリーガ102回目となる頂上決戦、“デア・クラシカー”が行われる。現在の2位のドルトムントは、ホームのジグナル・イドゥナ・パルクに首位のバイエルンを迎える。まさに、頂上ダービーを戦う上での舞台は整った。


ブンデスリーガの両チームの初対戦は、1965年10月。当時、本命と見られていたドルトムントが敵地で2-0の勝利を収めている。この一戦を含め、これまでリーグ戦での対戦戦績は、バイエルンが47勝25分29敗と勝ち越している。


ドルトムントは、ホームでは15勝19分16敗とほぼ5分の成績を残しているだけに、無観客試合のためにゴール裏の有名な“ゲルベ・ヴァント(黄色い壁)”によるサポートが無いとはいえ、なんとしても勝点を奪いたい試合だ。


現在の首位争いを楽しむためにも、改めて両クラブの歴史を見ていこう。(文:鈴木達朗)


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●両クラブの成り立ちと歴史


バイエルンは、1900年に芸術家やユダヤ系のビジネスマン、写真家などのいわゆるホワイトカラー層によって創設された。今では、バイエルン州を代表するクラブを自他ともに認めるが、創設者の大部分は、ミュンヘン市はおろかバイエルン州以外からミュンヘンにやって来た人々だったことは興味深い。1920年代からナチスが政権を握る1933年にかけて、ユダヤ系ビジネスマンのクルト・ランダウアーが会長を務めるなど、都市的な多様性を持ったクラブ(当時は、他のクラブと同様にナチスに近い幹部もいたことが分かっており、そういったネガティブな点も含めて)だった。現在のスタジアムでも、終戦日が近づくなど節目のタイミングで、ランダウアー元会長のコレオグラフィーが見られることがある。


その一方で、ドルトムントが創立されたの1901年。プロテスタント系の都市だが、カトリック系のポーランド人コミュニティが移住してきたドルトムント市北東部の地区を拠点に生まれた。週末に教会以外のアクティビティを求めていた若い鉄鋼業や炭鉱労働者たちが、この地区のポーランド系労働者たちとともにスポーツクラブを立ち上げたのが発端だ。ライバルのシャルケとともにルール地域の人々が自認するように、いわゆる“ブルーカラー”を代表するクラブだ。


●ブンデスリーガ創設以降の両者の関係


ここまで“デア・クラシカー”で大きく勝ち越している王者バイエルンだが、実はJリーグのいわゆる“オリジナル10”にあたるリーグ創設年の参加チームには入っていない。


ブンデスリーガ創設にあたり、1950年から62年までの成績を考慮された結果、ドイツ南部から選出されたのは、かつて清武弘嗣(セレッソ大阪)が所属したニュルンベルク、長谷部誠、鎌田大地の日本人コンビが活躍しているフランクフルト、山田大記(ジュビロ磐田)がプレーしたカールスルーエ、そして遠藤航がプレーするシュトゥットガルトの4チーム。そして、1962/63シーズンで前身のドイツ・オーバーリーガ南部を優勝した1860ミュンヘンを含めた5チームだった。


バイエルンが2年後の65/66年に初めてブンデスリーガに昇格したとき、ドルトムントはすでにブンデスリーガの優勝候補として2シーズン(63/64シーズンは4位、64/65シーズンは3位)を戦っていた。先述した初対戦はミュンヘンで2-0の勝利、1966年3月のホームでも3-0で勝利を飾るなど、新参者のバイエルンに貫禄を見せつけた。とはいえ、昇格したばかりのバイエルンは3位、ドルトムントは2位と力関係は切迫していた。


ドルトムントは、このときをピークに下降線を辿る。71/72シーズンには、ついに17位で2部降格。75/76シーズンに2位で昇格を果たすまで、4シーズンも苦しんだ。経営難にも陥り、地元企業やドルトムント市の支援を受けることにもなった。クラブは、1988/89年にポカール優勝を果たすまで、無冠のまま中位と下位をさまよった。


一方で、バイエルンはこのとき若手だった後の“皇帝”ベッケンバウアーや“爆撃機”ゲルト・ミュラーらの成長経て、68/69シーズンに初優勝を果たすと、黄金時代に入る。71-72シーズンから3連覇を達成し、72年欧州選手権優勝、74年W杯優勝の軸となるチームを形成するに至った。


20200525bundes_02写真:アフロ


74/75シーズン以降は、世代交代のために一時調子を崩したものの、怪我で引退したウリ・ヘーネスが79年の夏にマネージャーに就任。保守的なドイツサッカー界に、米国式のマーケティングやメディア戦略をいち早く取り入れ、盤石な経営基盤を築いた。79/80年に再びブンデスリーガ優勝すると、その後は40年にわたって“ドイツ王者”の称号に違わぬ結果を残し続けている。


90年代に入ると、ドルトムントはマティアス・ザマーらの才能を擁し、UEFAチャンピオンズリーグで優勝するなど、再びトップクラブとしての存在感を放つようになる。バイエルンとの優勝争いを繰り広げ、ライバルとしての地位に着いた。


しかし、2000年代に入ると、無理な補強による経営難に陥ってしまう。2005年にはバイエルンのウリ・ヘーネス会長から200万ユーロ(当時約2億7000万円)を借り入れするなど苦しんだ。現在のように経営が安定したのは、2008年にユルゲン・クロップがやって来て、若手を安価で獲得し、高価で売るビジネスモデルを構築できたおかげだ。その後のドルトムントとバイエルンのライバル関係は、記憶に新しい。


20200525bundes_03写真:アフロ


●今節の展望、注目選手、コロナ禍のなかでのビッグマッチ


この試合の見どころは、ドルトムントが勝つかどうかに尽きる。最後にリーグ王者となったのは、2011/12シーズン、最後のタイトルは16/17シーズンのDFBポカールとライバルのバイエルンに大きな差を付けられている。今季はすでにDFBポカール、UEFAチャンピオンズリーグでも敗退しており、タイトルの望みはリーグ戦のみ。リーグ優勝の可能性を広げるためには、バイエルンとの“6ポイントマッチ”で勝つことが必須だ。


残りの試合でバイエルンは好調のレバークーゼン、メンヘングラートバッハとの試合を残している。しかも、メンヘングラートバッハとの試合の週はDFBポカール準決勝でフランクフルトと戦うために、中2日の試合となる。ドルトムントは、ライプツィヒとの直接対決を残すのみ。日程的にも有利のとなる状況を活かすためにも、何としても勝ち点差を縮めたい。


懸念は、怪我人が続出している状況だ。センターバックのダン・アクセル・ザガドゥ、キャプテンで攻撃陣を牽引するはずのマルコ・ロイスは今季絶望が有力視されている。今節のボルフスブルク戦では、守備の要のマッツ・フンメルスがアキレス腱の痛みのために前半のみで退いた。火曜日の試合のために大事をとって交代したとしているが、本調子と言える状態ではなさそうだ。


バイエルンにとっては、この試合を乗り切れば、ブンデスリーガ8連覇も見えてくる。チアゴが筋肉系の怪我で離脱、セルジュ・ニャブリも本調子ではないが、後期無敗を維持し続けている。チームの顔であるトーマス・ミュラー、マヌエル・ノイアーらが契約更新し、2022年ホームスタジアムでUEFAチャンピオンズリーグ決勝を戦うという目標に向けて、土台を築きたいところだ。


バイエルンにとっては、今回の中断期間が有利に働いた面もある。長らく痛めていた股関節や、チェルシー戦で左足のすねの骨に損傷を受けた影響で長期離脱するはずだったロベルト・レバンドフスキが再開に合わせて調子を合わせて復帰してきたことだ。とりわけ、“デア・クラシカー”ではバイエルンの選手として歴代最多の18得点を決めているだけに、エースストライカーの復調は心強い。


20200525bundes_04写真:アフロ


●両チームの注目ポイントは?


最後に、両チームの注目選手を挙げよう。ホームのドルトムントは、両サイド/ウイングバックだ。左サイドのラファエル・ゲレーロは小柄ながら、俊敏性、テクニック、攻撃的なインテリジェンスある動きでフィニッシュワークにも絡むことができる。リーグ再開後は2戦連続得点を挙げており、好調を維持している。右サイドのアクラフ・ハキミも同様に攻撃的なサイドアタッカーの役割も果たすが、よりダイナミックなスピードが武器としている。4バックにしろ、3バックにしろ、速攻とサイドアタックを得意とするドルトムントでは、彼らとユリアン・ブラントらテクニシャン揃いの前線の絡みからチャンスを作ることになるだろう。


20200525bundes_05写真:アフロ


対するバイエルンは、ボールポゼッションに重きを置くことになるだろう。見どころを挙げれば、左サイドのアルフォンソ・デイビスの台頭、両ウイングのドリブルからのフィニッシュワークなどキリがない。強いて言えば、ハンジ・フリックが監督となってから左センターバックとして固定されたダビド・アラバのビルドアップや左足からのロングフィードだ。チーム全体が押し上がったあとは、相手に陣内に入り、タイミングの良い30-40メートルの浮き球の縦パスで一気にチャンスメークをすることもできる。攻撃に緩急の変化をつけられるセンターバックの存在に注目したい。


バイエルンで4季過ごしたドルトムントのエムレ・ジャンは、「バイエルンでは素晴らしい時間を過ごしたし、よく知るメンバーもいる。でも、今はドルトムントのユニフォームを着ている。火曜日のバイエルンを打ち倒すために全力を尽くすよ」と5月20日の『シュポルトビルト』のインタビュー内で意気込みを見せた。


バイエルンのフリック監督は土曜日のフランクフルト戦後、ドルトムント戦に向けて「守備面で、無失点で試合を終えることを望んでいる。ドルトムントの攻撃陣は強力で、それが難しいことは分かってはいるがね。素晴らしい試合になるだろう」と試合のイメージを掴んでいる様子だ。


今季の行方を決める一戦のカウントダウンが、始まった。


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