特集インタビュー&コラム|#サッカーが待ちきれない「【ターニングポイント-忘れられないあの試合- #2】JリーグMVP・仲川輝人の脳裏に残るのは、育ててもらった“古巣”との対戦」

特集インタビュー~サッカーが待ちきれない人たち~
インタビュー&コラム -サッカーが待ちきれない人たちへ-2020/04/29
【ターニングポイント-忘れられないあの試合- #2】JリーグMVP・仲川輝人の脳裏に残るのは、育ててもらった“古巣”との対戦

“サッカーが待ちきれない”人たちに自身の記憶に強く刻まれている忘れられない試合や、サッカー愛に溢れる方々にその思いを語っていただく特別インタビュー企画。第2回は2019年度JリーグMVPの仲川輝人選手(横浜F・マリノス)。チームの優勝、得点王獲得、と記録づくしの1年間の中で彼の忘れられない試合とは。そして溢れるクラブ愛について語っていただきます。(取材・構成:竹中玲央奈)


仲川輝人の“忘れられないあの試合”
2019年 J1リーグ 第33節
川崎フロンターレ 1-4 横浜F・マリノス


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●トップ昇格できなかった悔しさをバネに成長した大学時代
僕は川崎フロンターレの育成組織出身で、U-18からトップへの昇格が叶いませんでした。当時はとても悔しくて「なんで上がれなかったんだろう」と思っていましたね。でも、結果的に大学4年間はすごく貴重でしたし、自分にとっても1つの大きなターニングポイントにもなりました。大学へ行って良かったと今では思いますし、“上がれなかった悔しさ”があったからこそだと思っています。それを持ち続けてプレーしていましたし、フロンターレにまた呼ばれるように努力はしていました。



当時のフロンターレU-18を率いていた安部一雄監督は帝京高校出身ということもあって、かなり走りこみました。走りが基本、みたいな。技術よりも基礎体力、走力でカバーしていこうというスタイルで、メンタル面や体力面は相当鍛えられました。高校2,3年の時に鬼木達さん(現 川崎フロンターレ監督)がコーチで来て、そこから少しづつ技術練習が多くなったかなと思います。パス練習も結構な時間をかけてやりました。ベースはこの高校時代がありますね。
そして、専修大学では楽しくサッカーするというのを教えてもらいました。すごく攻撃的なチームで「1点取られるのは普通」「点を取られたら相手より多くとれば良い」という思考になりました。
ポステコグルー監督は1,2点取られても3,4点取れば良いというメンタリティを持ってる人なので、やりやすいというか。攻撃的なスタイルが身に染み付いたのと、そういったスタイルでリーグ戦4連覇できた経験は今にも繋がっています。



●「F・マリノスのために」という思い
色々なクラブからお話をもらった中でF・マリノスに決めたのは、大学4年時のリーグ戦で怪我をした後です(※)。大怪我を負った状態でも声をかけてくれた中で、F・マリノスからは大きな熱量を感じましたし、治療面を含めてサポートもしてくれたのが大きかったです。
※大学4年次のリーグ戦で右膝前十字靱帯および内側側副靱帯断裂、右膝半月板損傷という選手生命を脅かしかねない負傷を負った。


「自分が復帰した後にどんな恩返しができるか」と考えた時に、“リーグ優勝に自分が貢献することだ”と思いました。でも、復帰しても体が思うように動きませんでした。当時の監督とスタイルが合わなかった部分もありましたし…。それでも続けてこれたのはF・マリノスのことをずっと思っていたからです。あれだけの大怪我をした中でも獲得してくれた恩が強かったですし、そうでなければ他のチームへ出ていった可能性もあったと思います。


個人的にはアビスパ福岡へ期限付き移籍で行って、プレーオフ(2017年のJ1昇格プレーオフ決勝・名古屋グランパス戦)を経験できたのは良かったです。緊張感やプレッシャーが凄かった。もしあそこで勝ててJ1に上がっていたら、その試合を今回の企画でセレクトしたかもしれないです。


その翌年にF・マリノスに戻ってきましたけど、福岡でやりたい気持ちもありました。試合にも出してもらっていましたし、身体のキレも徐々に戻ってきた感覚もありましたから。「あとは点を獲るだけだ」と思っていましたね。相手の状態をよく見られるか見られないかで調子の善し悪しがわかるのですが、福岡の時は相手をよく見ることができていました。良い状態が続いていたんですよ。


昇格は逃してしまいましたが、福岡の1年間でJ1でもやれる自信が出てきました。そして悩んだ結果、次はF・マリノスでやろうと。ラストチャンスだと思って臨みました。
去年のシーズン最初は試合にも絡めなくて、キャンプの時は練習参加している高校生と並列の立場でした。でも、待ち続けていけばチャンスは来るだろうと信じて、チャンスが来た時に自分が発揮できる100%の力を出せる準備はしていました。結果として主力になれて、2019年に繋がったなと。


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●育成組織出身として、成長した姿を見せたかった
2019年はリーグ制覇ができて得点王もMVPも取れたシーズンでしたが、その中で一番印象的なのはアウェイのフロンターレ戦ですね。育成組織何かしら成長した姿を見せたいと思って試合に入りましたし、この試合では点を取りたいと思っていました。


実際に決めることができて嬉しかったですけど、相手チームだったので喜びはだいぶ控えましたね…。僕の記憶が正しければ、これが等々力での初ゴールです。


内容と結果を含めて1番良かった試合だと思うし、フロンターレは王者でもあり、なかなか勝てていませんでした。その王者相手に自分たちのスタイルで大勝できたのはすごく自信になりましたし、自分たちのスタイルは間違っていないと確信できた。とても意味のある試合だったかなと。


試合後、言葉では「まだ優勝は決まっていない」とは言いましたけど、優勝を争っていたFC東京の結果を聞いて少しは余裕を感じたというのが正直なところです。


監督は「少年の時のサッカーの心を思い出せ」「そのときの気持ちを忘れるな」と言います。少年の時の無邪気な心で楽しむ時を忘れちゃいけない、と。


僕は点を取る喜びを小さい頃から感じていて、昔からそれが1番楽しいことだと思っていました。だから、常に点を取るという気持ちを忘れずにやろうと。そう思ってシーズンを戦ってきた中で、育ててもらったフロンターレ相手に形にできたという意味でも、この試合は印象深いです。


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●再開後に楽しいサッカーを見せたい
こういう状況で自分たちもサッカーをできなくて、苦しいしキツいです。「サッカーをしたいな」と毎日すごく思っているのは正直なところです。いつ再開されるかわからないですけど、その日までにできることはたくさんあると思います。僕たちはその日にむけての準備をし続けるのももちろんんですが、ファン、サポーターの方々へSNSを活用して自分たちの元気な姿を届けることもやるべきかなと思っています。


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正直、これだけサッカーから離れたことはないので、困ってます。毎日何をすれば良いのかわからないですし、ずっと家にいる。でも再開する日は必ず訪れます。その日は笑顔で皆さんと会いたいですし、F・マリノスの楽しいサッカーをその再開した日に見せたいと、強く思っています。


【ターニングポイント-忘れられないあの試合-】
【#1】「広島の歴史が変わった」風間八宏が選ぶ現役最高の試合
【#2】JリーグMVP・仲川輝人の脳裏に残るのは、育ててもらった“古巣”との対戦
【#3】海外初挑戦での衝撃。シュミット ダニエルが臨んだ危険なダービー
【#4】「勝負強い鹿島」が生まれた日。岩政大樹が浦和を封じた2007年の第33節

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