UEFA CHAMPIONS LEAGUE

決勝 ユベントス×レアルマドリード 6/3(土)現地から生中継!

決勝ラウンドの注目監督

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ジネディーヌ ジダン

ジダンにとっては挑戦の2、3月となる。そして、その越えるべき最初の障害がCLナポリ戦である。対戦相手がナポリに決まった当初あった楽観論は今はすっかり消えてしまった。
問題は山積だ。無敗記録が40試合で途絶えて以降チームは2勝1分2敗と足踏みを始め、コパデルレイでは監督として初の敗退を経験、エースのロナウドに悩みが見えることに加え、ケガ人が続出している。40試合無敗のような大記録やバロンドールのような大きな賞を勝ち取った後に反動が来るのはよくあることだ。緊張の糸が切れ疲労が一気に押し寄せる……。

レアルマドリードには悪しき前例がある。14/15シーズン、クラブW杯でクラブ世界王者となり、冬の王者(前半戦の首位)となり、ロナウドがバロンドールを受賞した後チームは極度の不振に陥ってリーグ優勝争いから脱落、CLも準決勝で敗退して無冠に終わり、前年のCL優勝監督アンチェロッティは解任されてしまうのだ。

状況はあの時より悪い。負傷中のベイルはナポリ戦の2試合とも欠場確実だし、ハメス ロドリゲス、カルバハル、マルセロ、モドリッチも2月15日の1st legにはおそらく間に合わない。3月7日の2nd legにどの程度調子を戻して来られるか?

ジダンは大急ぎで、メンタル面の立て直しと負傷者の穴を埋めるチーム作りをしなければならない。幸い彼はマネージメント能力に長けた監督だ。昨シーズンの2敗(アトレティコマドリード戦0-1、ボルフスブルク戦0-2)はいずれも手痛いものだったが、ジダンは時に激怒し時に懐柔しチームを欧州の頂点にまで導いた。選手時代のカリスマを利用した巧みな人心掌握術で選手をコントロールして気持ち良くプレーさせ、メディアを手なずけて周囲の雑音を打ち消した。ビッグイヤーを掲げたことでジダンは会長すら逆らえない絶対的なリーダーとなり、彼の庇護の下でカゼミーロ、ルーカス バスケス、コバチッチ、イスコ、アセンシオ、モラタが成長したことがリーガエスパニョーラで首位を走る原動力となった。とはいえ、これだけケガ人が出ると控え組の起用だけで乗り切るのは難しい。

そこでジダンが手を付けているのがシステム変更である。これまで[4-3-3]、[4-4-2]、[4-2-3-1]と常に4バックだったが、国内リーグのセビージャ戦、コパデルレイのセルタ戦の2nd legでは3バックを採用した。これはカルバハル、マルセロと両SBが負傷しDFの数が足りなくなったという台所事情もあるが、中盤の人数を増やしてボール支配力を高める目的もあった。セビージャ、セルタはボールを支配しショートパスで攻めるチームであり、これはナポリも同じなのだ。

ジダンはこれまで戦術家としては評価されてこなかった。守備的MFカゼミーロを攻撃的MFハメス ロドリゲスより優遇する点に象徴されるように、ボール支配にこだわらず守備を固めて前線のタレントを前面に出したカウンターで止めを刺すという、オーソドックスなサッカーで彼は欧州と世界の頂点を極めたのだ。だが、ナポリ戦を前にして、リーガエスパニョーラのパスサッカーの主たちが相次いでレアルマドリードの牙城を崩した。ジダンは監督として何らかの戦術的対抗策を採らねばならない。ナポリにはハムシク、ジョルジーニョ、アランと質の高い中盤に加えて、本来はMFで偽CFのメルテンス、両ウインガーのカジェホン、インシーニェとボールが持てる選手がそろっている。3バックと2トップ(ベイル欠如ゆえにロナウドとベンゼマ)で中盤の人数を5人に増員しナポリからボールを取り上げるという選択は、ジダンの目にも魅力的に映っていることだろう。特に15日の試合では3バックがエスタディオ サンティアゴ ベルナベウのグラウンドに送り出されている可能性はかなりある。CL決勝ラウンドという舞台でジダンは戦術家たるベールを脱ぐかもしれないのだ。

文=木村浩嗣

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カルロ アンチェロッティ

ようやくバイエルンが、“ペップ後遺症”から抜け出す答えを見つけようとしている。

昨夏にグアルディオラからバトンを受けついたイタリア人のアンチェロッティは、13節のマインツ戦において、システムを【4-3-3】からトップ下を置く【4-2-3-1】に変更。3対1で完勝し、新たな勝利の方程式を手に入れた。システム変更の理由を、アンチェロッティ監督はキッカー誌のインタビューでこう説明した。
「4-3-3の場合、私はウイングの選手が相手のDFと守備的MFの間のスペースに入って行くことを望んでいる。だが、リベリとロッベンはその役割に慣れていなかった。そこでDFと守備的MFの間のスペースをより突けるように、トップ下を置くシステムに変更したんだ」

一口に【4-3-3】と言っても、グアルディオラとアンチェロッティではやり方が異なる。前者はウイングを左右に張らせるのに対して、後者はウイングを中に走りこませるのだ。その分、ラームらサイドバックを高く上げて、ウイングの役割を担わせる。ところが、そのイメージをうまく共有できなかったのだろう。中央で渋滞が生じ、なかなかうまく連動できない。試合には勝つものの、内容が伴わない——。そんな停滞感が漂い始めた。

だが、システム変更によって前線の“なわばり”が整理されて、選手の連動がスームズになる。最も機能したのが、ライプツィヒとの頂上決戦だ。(16節)。トップ下に入ったティアゴが縦横無尽にゲームメイクし、2位ライプツィヒを3対0で粉砕。マインツ戦のシステム変更以降、バイエルンはリーグ戦で6連勝している。

もちろんアンチェロッティは、まだチームの完成度に満足していない。課題になるのは、ゲームコントロールだ。ラームはこう解説する。
「昨シーズンまで、僕たちは90分間ゲームを支配しようとしていた。だが、今シーズンは状況に応じて後ろに引いて、カウンターを狙うことにも取り組んでいる。アンチェロッティ監督から、ゲームをコントロールすることを学んでいるんだ」

グアルディオラ時代、バイエルンは常にボールを保持しようとし、90分間支配することに挑戦した。それによってブンデスリーガでは圧倒的な強さを見せ、前任者のハインケス監督時代から含めて史上初の4連覇を成し遂げた。だが、選手の消耗が激しくシーズンの終盤に息切れし、CLでは3シーズン連続で準決勝の壁を乗り越えられなかった。

一方、アンチェロッティは現実主義者だ。シーズンの最後にピークを持って来るべく、リアリズムを植え付けている。このイタリアの名将は、課題を明確に指摘する。
「今のチームは切り替えとパスでボールを前に運ぶのはとてもいい。ただ、前にスペースがある場合、もっと早くFWにダイレクトでパスを出してもいい。時間を無駄にしているときがあるんだ。その原因のひとつは、守備のときにボールの近くに多くの選手が寄ること。そのため攻撃でフリーな選手が少ない。自分たちの裏のスペースをケアするためにも、あえて相手のDFにプレスをかけないという選択もある。選手の消耗を抑えるべく、ローテーションも積極的に行うつもりだ」

グアルディオラとアンチェロッティが大きく異なるのは、CLに対する発言だ。前者が「最も大事なのはブンデスリーガ」と言い続けたのに対し、後者は「最も大事なのはCL」と公言している。

観客を魅了するプレーは減ったかもしれないが、強敵にも簡単には負けない——。ブンデスリーガの優勝争いがもつれようとも、アンチェロッティは欧州の頂点に立つつもりだ。

文=木崎伸也

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