特集インタビュー&コラム|#サッカーが待ちきれない「【マイベストゲーム5選 #4】家本政明が「審判目線」で選んだ5試合。“面白い試合こそ、審判は必要ない”」

特集インタビュー~サッカーが待ちきれない人たち~
インタビュー&コラム -サッカーが待ちきれない人たちへ-2020/07/22
【マイベストゲーム5選 #4】家本政明が「審判目線」で選んだ5試合。“面白い試合こそ、審判は必要ない”

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“サッカーが待ちきれない”人たちに自身の記憶に強く刻まれている忘れられない試合や、サッカー愛に溢れる方々にその思いを語っていただく特別インタビュー企画。今回は実況、解説、関係者が選ぶ「マイベストゲーム5選」の第4回。Jリーグをはじめ、数々の国際試合でも審判員を務めてきた家本政明さんに記憶に残る5試合を選んでいただきました。ファンや選手らとは異なる、“審判目線”に注目です。(取材・構成:竹中玲央奈)


【第5位(同率)】2010年 国際親善試合 @ウェンブリー・スタジアム
イングランド 3-1 メキシコ


“聖地”ウェンブリーで試合ができたということもあるのですが、これは僕が後にも先にも唯一「ゾーン」に入った試合としてとても思い出深い試合です。


目の前で起こる全ての事象がスローに見えて、全ての展開が手に取るようにわかる。スタジアムには9万もの人が騒いでいるのになぜかめちゃくちゃ静か。こんな経験をしたのは後にも先にもこの試合だけです。


世界トップオブトップの試合はジャッジがとても“簡単”でした。スピードは桁違いに速く、球際はめちゃくちゃ激しいのに選手たちは簡単に倒れないし倒れてもすぐさま起き上がってプレーをやめない。「次はここだ」と思ったところにボールも選手も動く。「世界のトップオブトップの試合はまるでTVゲームをしているみたいだなあ」と思いました(笑)。全くミスがなくスムーズで美しい。もう一度あの感動と感じを体験したいなと思っていますが、なかなか難しいです。


machikirenai_iemoto_20200722_05イングランドのルーニーと家本主審。(写真:アフロ)


このとき、メキシコの監督が元日本代表監督のアギーレさんで、縦への速さなど彼のスタイルは印象に残りましたね。また、イングランドはカペッロ監督で、緻密さがありました。頭の良い戦略的な監督のもと、両者とも明確なスタイルを持っていました。


会場の雰囲気もとても印象的でした。両チームの選手やサポーターにとっては、数日後にW杯本大会の試合が始まるという大事な試合で、わけのわからない東洋の審判員がこの試合を担当している。「お前は大丈夫か?」という空気はビシバシ感じました(笑)。ただ、試合展開も面白く、内容も良かった(イングランドの勝利)ので、誰も僕のことなんて気にせず皆さん試合を楽しんでいました。試合終了後は、両国の選手や監督と笑顔で握手し、メインスタンドのお客さんはスタンディングベーションと、僕のレフェリングは皆に好意的に受け止められました。そしてその後、VIPルームにつれていってもらったのですが、僕を始めとした日本の審判団の存在に気づいたVIPの方や協会の方がわざわざ僕たちの所に来てくださって、お褒めの言葉をいただきました。


試合のレベル、展開、ゾーンの経験、会場の雰囲気、終わったあとも含めて強く記憶に残っています。


【第5位(同率)】2011年 イングランド・FAカップ1回戦 @グリフィンパークスタジアム
ブレントフォードFC 1-0 ベイジンストーク・タウンFC


どうしても優劣をつけられなかったので同率でこの試合も挙げさせていただきました。これは、イングランドのFAに登録していない審判員がこの大会で笛を吹く初めての試合です。カテゴリー的には日本でいえば、JFLか地域リーグ同士の戦いです。


サッカーの技術はそれほど高くはなかったのですが「これが本場のフットボールだ」と感じるプレーが随所にありました。「サッカー」ではなく、「フットボール」。Jリーグにはないフィジカルの強さ、球際の激しさ、試合展開とボールスピードの速さ、駆け引きと、今まで経験したことのないフットボールの世界がそこにはありました。


田んぼに力で“男”と書くじゃないですか。あれを日本人とするならば、さんずいの“漢”で読む“おとこ”。彼らはこっちだなと。洒落っ気はないけど、とにかく強く、たくましく、勇ましい。僕は“漢”という文字にこういう印象を持っているのですが、それが完全に当てはまる。イングランドのフィジカルコンタクトはとても激しいのですが、これがめちゃくちゃ上手いんです。誤解を恐れずにいうならば、日本の選手はボールをさばいたり、扱う技術はとてもうまいのですが、相手を受けたり、ファールなしに相手からボールを奪う技術は世界に比べると劣っています。だからファールになるし、ファールに見えるし、球際で競り負ける。でも、イングランドの選手たちのコンタクトプレーやボールを奪う技術は抜群にうまかったです。


会場もサッカー専用スタジアムで、イングランド特有のフィールドレベル。ピッチと観客の目線が一緒なんです。試合中、観客と目線が合うという不思議さ、面白さがありました。
日本では全く経験できないようなサッカーのプレースタイル、スタジアムの構造を味わえました。


【第4位】2017年 J1第34節 @等々力陸上競技場
川崎フロンターレ 5-0 大宮アルディージャ


川崎Fは最終節で勝つだけでは優勝できない条件でした。優勝するためには裏側で行なわれている鹿島vs磐田戦で鹿島がドロー以下でなければいけない。条件は厳しくてもなんとかホームで悲願の初優勝をサポーターと分かち合いたい。鹿島にしても川崎Fにしても相当なプレッシャーと試合運びの難しさがあったと思いますが、川崎Fは緊張感なくいつものスタイルでのびのびやって点を取って、小林悠選手はハットトリックを決めました。
そして4-0で迎えたアディショナルタイム、長谷川竜也選手が5点目を決めたときに川崎Fのベンチの方を見たら、スタッフの人がベンチに向かって走っていくのが見えて「あ!これは川崎Fの優勝が決まったんだな。」と思い、自分の時計を見たらちょうど提示したATの5分になっていたので、試合終了の笛を吹きました。


川崎Fの初優勝を目の前で経験させてもらえたことはとても光栄です。選手もスタッフも皆目を真っ赤にして大声を上げて喜びあっている姿を見て、僕も胸がグッと熱くなりました。


余談ですが、僕は広島が初優勝を決めた試合もありがたいことに担当していました。この試合もそのときと同じように、普段はする試合後の整列と挨拶を省略して、相手チーム(このときは大宮)の選手達にはロッカールームに挨拶セレモニー無しでそのまま帰って頂きました。


誰だって自分たちは負けたのに、目の前で優勝を決められて喜びに夢中になっている相手をずっと見ていたいとは思はないでしょうし、相手が整列するまでフィーイルドで待っていたいとも思わないでしょう。一方、優勝、まして初優勝を決めたチームの選手たちにとっては喜びを爆発させている最中、挨拶というセレモニーによって水を差されたくはないでしょうから。


僕たち審判員は、カップ戦ではなくリーグ優勝が目の前で決まるという瞬間には滅多に遭遇できないので、川崎Fの邪魔にならない場所で川崎Fの選手、チームスタッフ、ファンサポーターが創り出す至極のひとときを恐縮ながら少しだけ味わわせて頂きました。しばし堪能してフィールドから出る際、たまたま中村憲剛選手と目があいまして、次の瞬間なぜかハグをしていました(笑)。彼は顔をクシャクシャにしながら号泣していましたが、ハグしたとき中村選手から伝わってきたのは、彼自身の、そして川崎Fのこれまでの想像も絶する努力や苦労がやっと報われというのがすごく伝わってきて、僕自身すごく胸が熱くなりました。


machikirenai_iemoto_20200722_04号泣する中村憲剛。(写真:アフロ)


その場にいることができた喜び以上にフットボールの良さ、エンターテインメントの素晴らしさを自分自身が実感できた試合としてすごく記憶に残っています。


【第3位】2015年 ヤマザキナビスコカップ決勝@埼玉スタジアム2002
鹿島アントラーズ 3-0 ガンバ大阪


「鹿島って強いな」と思った試合はいくつもあるのですが、その中でも鹿島って「本当に」強いな、と思ったのはこの試合ですね。決してG大阪が良くなかったわけではないんです。ただ、あのときのG大阪は鹿島に何もさせてもらえなかったんじゃないかな、と思います。


相手に激しくプレッシャーを与えて試合の主導権を握る。レフェリーにもプレッシャーをかけて引き込もうとする。試合の要所要所でそれを繰り返して試合の流れを自分たちの方へ持ってこようとする。鹿島はこういうところがいい意味で抜群にうまい。もちろん技術的にも戦術的にも優れているチームなのですが、「試合巧者」という意味では、鹿島は国内随一だと思います。


この試合でも立ち上がりからG大阪を圧倒していましたが、前半は点を取れませんでした。でも、全然慌てていない。1点取れれば御の字、でも点が取れてないからといって自分たちのペースが崩れているわけでもない。G大阪の方が地に足がついていないというか、「いい時のガンバではない」という印象がありましたし、「鹿島に食われている」という印象もありました。遠藤保仁選手も徹底的に抑えられていましたから。その後、後半にセットプレーから立て続けに3点取って試合を決めました。


machikirenai_iemoto_20200722_03G大阪を圧倒して優勝した鹿島。(写真:アフロ)


鹿島はジーコさんのスピリットがベースになっているので、「ブラジルらしさ、南米らしさ」がチームのフィロソフィーになっていますし、徹底的に勝つことにこだわっているクラブだと思います。上手さや技術的な魅力、テクニカル的な洗練さを感じるクラブはいくつかありますが、「絶対勝つ」という気概を一番感じるのは圧倒的に鹿島ですね。


勝負というのは“うまい”とか“強い”だけでは勝てない。うまさや強さに加え、運を掴む勝負感やいい意味でのずる賢さが勝敗を分ける重要な要素だと僕は思っているのですが、鹿島はそこにどのチームよりもこだわっているし、追求している結果が星の数にも現れています。あの数は伊達じゃないですよね。ただ、審判員にとっては鹿島の試合はほんとに難しいです。勝負に徹してくるので(笑)。


この一戦はまさに、“THE 鹿島”を感じた試合でした。


【2位】2020年 J1 第1節 @三協フロンテア 柏スタジアム
柏レイソル 4-2 コンサドーレ札幌


ほんとにすごかったです、この試合は。シュート数が24と20ですよ!シュートの雨あられ。シュート数の多さだけでなく球際も激しかったし、攻守の切り替えも早くて多くて。ノーガードの打ち合いのような試合。なかなかないですよ、こういう試合。本当に両者ともすごかった。


一方でFKが8と11。これはオフサイド(間接FK)が入っているので、直接FKは両方共10以下でした。通常、国内だと両チーム合わせて平均で30〜40、多いときで50のFKがある中でこの試合は片方のチームが10以下だから、ゲームは全く止まっていない印象ですよね。彼ら自身が少々のことではプレーをやめないし、僕も止めない。とにかく戦って戦って戦う。打って打って打ちまくる。もちろん「ファールなの?」「他のレフェリーなら笛がなるよ?」というようなどちらとも取れるものもあったのですが、それでもハッキリとしたファール以外僕は徹底して笛を吹かなかったし、選手も僕の基準を理解してくれてとにかくプレーし続けてくれました。


近年、僕は「フットボールの面白さってなんだろう」「どうすればもっと面白い試合ができるんだろう」と追求していまして、それは安全性の担保、球際の激しさとその数、攻守の切り替えの速さとその数、プレーの継続性、多くのシュートシーンにあると思っています。この試合も、僕はそれを実現させようと徹底したのですが、選手は誰一人文句も言わずプレーし続けてくれました。


選手とチームスタッフがフットボールに、ゴールに、そして勝利に向かって集中していた試合だったと思います。そしてありがたいことに、彼らは僕たちレフェリーを敵対視しなかった。だからあの試合は、僕は“いらなかった”と思います(笑)。


試合の展開は、柏が4-0になってから札幌が2点入れて4-2。


この試合で僕が一番面白かったと思っているのが、札幌が2点目を入れた1分後の76分29秒に、荒野拓馬選手が3人を交わして放ったシュートをキム・スンギュ選手がファインセーブをした決定的なシーンです。もしこれが入っていたら4-3。しかも残り20分弱あったので、まだまだ点が入ったと思います。あのシーンでゴールが入らなかったことで、札幌の士気がちょっと落ちたのを感じました。


「これが入らないのか」と。僕自身、現場で思わず「おー!」って声が出ちゃいました(笑)。「うわ、荒野選手めちゃくちゃうまい!これは絶対に入る!」と思った次の瞬間、キム・スンギュ選手のファインセーブが生まれて。荒野選手はこのシュートを外した後に思わず笑うのですが、それはシュートが決まらなかったことに対してではなく、GKに対する賞賛の笑みだと思います。相手のスーパープレーを称える笑みだったなと。これも含めてすごく印象的です。


そして、オルンガ選手は本当にすごかった。J2時代もその“怪物級”のプレーを目の当たりにして強い印象を持っているのですが、この試合で改めて本当に規格外の選手だと思いました。かつて、エムボマ選手を初めて見たときの印象に近いです。一見スピードがあるようには見えないけど、実はめちゃくちゃ速い。1点目は、思ったよりも彼が速かったので、GKは戸惑ったのかなと。後半の得点もそうですよね。速い、強い、さらに足元もうまい。「彼はヨーロッパにまた戻ってプレーする選手だな」と思いました。でも、彼が日本にいたら子供達にもすごく良いモデルになるし、日本の選手にとってもいい刺激にも学びにもなる。だから出来るだけ長く日本にいてほしいなと思います。


machikirenai_iemoto_20200722_02エムボマを彷彿とさせるオルンガ。(写真:アフロ)


今年一発目の試合がこれだったので、「今年のJリーグっていったいどれだけ面白くなるんだろう」と思った、本当に強烈な試合でした。


【第1位】2019年 天皇杯ラウンド16 @神戸総合運動公園ユニバー記念競技場
ヴィッセル神戸 3-2 川崎フロンターレ


リーグ戦の最中に天皇杯を戦いながらかつ勝ち上がるというのは、チームにとって本当に難しいんです。チームが重きを置くのはリーグ戦で、かといってカップ戦で手を抜くわけにはいかないし、でも連戦になるし…と。選手にとってもチームにとっても天皇杯の試合は難しい位置付けなんです。こういう前提はありますが、この試合は両者の良さが随所に出て純粋にフットボールを楽しめた、とても面白い試合でした。


2019年の川崎Fは、それまでの良かったときに比べ今一つチームとしての歯車が噛み合っていない印象がありました。連覇をした時の強さ、川崎Fらしさ、キレや連動が少し足りなかった。一方で神戸はまとまっていて、この試合トントントンと3発入れて3-0にしました。「これで決まったかな」と思っていた矢先、今度は川崎Fが盛り返して3-2。ただ最後の一矢が決められず、神戸が耐えて3-2で終わりました。個人的に、サッカーで1番面白いスコアは3-2だと思っています。1-0のスリリングさと3-2の打ち合いが個人的に最も楽しい。そういう意味で、この試合展開はレフェリングしながらも本当に楽しかったですね。


machikirenai_iemoto_20200722_01打ち合いの末に神戸が勝利。(写真:アフロ)


それと、もう一つ。この試合は直接FKの数が3と5なんですよ。神戸が3、川崎が5。オフサイドも含めると3と8なのですが、直接FK数が3と5というのは、僕の二十数年の審判人生において最小のFK数なんです。そして、カードもなし。


では接触プレーや球際の激しい場面はなかったのかというと、そういうことではない。両チームとも激しいながらフェアだったし、相手にも配慮したプレーをした結果、FKになるようなファールがなかった、というだけです。それと、上の柏vs札幌戦のときと同様に、僕自身些細なコンタクトや相手の正当なチャージに負けて倒れたものには笛を吹きませんでしたし、選手も何も言わずとにかくプレーを続けてくれました。それでどんどん試合は流れるし止まらない。この試合は選手もお客さんもフットボールだけにフォーカスしていたでしょうし、スリリングで魅力的という言葉がとてもよく似合う試合でした。


僕はこの“FK数”は試合の面白さに影響を与える重要な要素の一つだと思っています。笛が多くても気にならない試合もときにはありますが、やはり笛が多いと選手もチームも見ている方もだんだんその音が気になってイライラしてくる。笛の音はある意味「ノイズ」なので。でも10以下だとまず気にならない。ノーカードだともっと気にならない。お客さんも含め、多分誰もが“レフェリーがそこにいた”とは思わない。


とは言え、明らかなファールや選手が嫌がる危険な行為があるのに、FK数を少なくするために笛を吹かずにいると今度は試合が荒れてくる。選手の安全性が担保されていないので選手がプレーに集中できないからですね。


その辺のバランスをどう取るのかは難しいですが、僕たち審判員が笛で試合を止めるというのは、単に悪さを見つけて取りしまることや自分の存在をアピールすることを目的にしているわけではなく、あくまで良い試合にするための、試合が面白くなるための手段なんです。


選手には、相手に配慮しつつ自分の最高のパフォーマンスが発揮できるように、あるいはお客さんには観に来てよかったと思ってもらえるようにするために僕らはいるんです。言うまでもありませんが、主役はあくまで選手であって、お客さんも選手の戦う姿を見に来ているわけで、僕たち審判員は限りなく“いらない”んです。


この試合も、柏vs札幌戦同様、審判員は不要な試合でした。審判員が試合にさじ加減をしたり味付けをしたり、ハンドルを握って方向感を示すことは、できるだけない方が良いし、したくないんです。それが本来のフットボールの姿で、「筋書きのないドラマ」を創るのは両チームの選手とスタジアムにおられるお客さんなんです。


この試合ではフットボールの原理原則というものを改めて感じることができました。


●クオリティの高いJリーグを提供したい


コロナ禍を受け、これからのJリーグは色んな意味で大きく変化せざるを得ないなと思っています。でも、それは決して悪いことばかりではなく、我々がこの現状に真摯に向き合い、境遇をポジティブに受け止め、勇気を持って新たな変化に挑み、それを楽しむことが大事だと思います。これを機にテクノロジー、中でもバーチャルリアリティ(VR)が加速度的に進化して、会場に行かなくても生々しい世界が目の前で広がるようになるかもしれませんし、VRや他のテクノロジーの進化によって今までよりももっとフットボールを楽しめるようになるかもしれないですよね。


先日、多くの制限や約束事がある中、関係者の方の尽力によってようやく試合が開催できるようになっただけでなく、できる限り“通常”に近い形で試合を形づくってくださいました。関係者の方には本当に感謝しています。
僕は海外でいわゆる「無観客試合」を担当したことがあるのですが、無観客かつ無音のスタジアムで行う試合は“フットボール”ではなかったですし、選手は明らかに精彩を欠いていました。あの時、もう二度と無観客での試合はやりたくないなと思いました。


そういったことを踏まえて試合後に思ったことは、やっぱり“フットボールのある日常”って最高だなあということと、観ている方、応援している方がスタジアムにいてくださる、その方々の姿や表情がフィールドから見える、選手を応援する声はない(擬似的なチャントは流れている)ものの拍手や思わず漏れる吐息といった生の音が聞こえてくる、スタジアムにいるお客さんが創り出す音や雰囲気に強弱やリズムといった変化がある、という試合環境は、フィールドに立つ者に力と勇気とエネルギーを与えてくれるんだなということ。選手がいいプレーをする、あと一歩のところを頑張れるのは、間違いなく応援する方がそこにいてくれるからこそなんだな、ということを実感しました。


今年は色々と難しい状況や不慣れなことが続きますが、だからこそ今まで以上に選手たちと僕たち審判員が良い意味で“協働”して、Jリーグをもっとアグレッシブで、もっとエキサイティングで、もっとクオリティの高い試合にして多くの方を勇気づけ、喜んでもらえるようにしたいですし、それを実現するために、とにかく今できる最高の準備をして、それぞれの立場で与えられた役割を全うしたいです。
立場は違えど、今はみんなで協力してこの境遇を乗り越えていきましょうね。


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