特集インタビュー&コラム|#サッカーが待ちきれない「【ターニングポイント-忘れられないあの試合- #3】海外初挑戦での衝撃。シュミット ダニエルが臨んだ危険なダービー」

特集インタビュー~サッカーが待ちきれない人たち~
インタビュー&コラム -サッカーが待ちきれない人たちへ-2020/05/01
【ターニングポイント-忘れられないあの試合- #3】海外初挑戦での衝撃。シュミット ダニエルが臨んだ危険なダービー

“サッカーが待ちきれない”人たちに自身の記憶に強く刻まれている忘れられない試合や、サッカー愛に溢れる方々にその思いを語っていただく特別インタビュー企画。第3回はシュミット ダニエル選手に、ベルギーリーグでのここまでの戦いを振り返っていただきました。昨年7月にベガルタ仙台からシントトロイデンへ移籍し、海外初挑戦を果たした今シーズン。新たな挑戦の中で彼が選んだ“ベストゲーム”について語っていただきます。(取材・構成:竹中玲央奈)


シュミット ダニエルの“忘れられないあの試合”
2019-20 ベルギーリーグ第17節
ヘンク 1-2 シントトロイデン


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●リンブルフダービーは「他の試合と全く違う」
昨年12月、第17節のヘンクとの“リンブルフダービー”は、今シーズンここまでのベストゲームだと思います。ブライス前監督の解任後初めての試合で、後半戦の2試合目。アウェイで2-1と逆転勝利することができました。


ヘンクとは第9節にホームで対戦して、3点ビハインドを追いついて3-3と引き分けました。ただ、最後にヘンクのサポーターが暴動を起こして、中断したまま試合終了。アウェイでもお互いのチームがバチバチしていましたが、自分も活躍して勝てたので、印象に残っています。


早い時間に先制されたものの、前半のうちに逆転できました。その後は守りに入りましたが、結構緊張しましたね。守備でどれだけ持ちこたえられるかが試合を決めると思っていたので。前監督のサッカーでは、引くときは引くとはっきりしていたのですが、ラインを高めにして大量失点したこともありました。この試合は逆転後にどっしり引けたので、安心感がありました。


リンブルフダービーは、試合前から『負けられないぞ』と鼓舞する選手も多いです。サポーターの熱さも、他の試合とは全く違います。こんなに差があって良いのかと思うくらい(笑)。ヘンクは昨年の王者ですけど、僕たちは関係なく最初から勝ちに行きます。


ただ、監督が解任されてからの練習は、決して良い雰囲気とは言えなかった。この試合でも、先制されたときはどうなるんだろうと。とりあえず自分だけでも頑張ろうと思っていましたね。


●周囲の信頼を勝ち得た2試合
普段から気持ちの波を作らないようにしています。感情に左右されることもありますが、どちらかといえば淡々と、「何が起こっても仕方ない」と思うようにしています。


もっと熱を見せてほしい、後ろから鼓舞してほしいと言ってくる選手もいます。ただGKに必要なのは、平常心と冷静さ、的確な判断。周りの環境に左右されないことが大事なので、無意識にできるように取り組んでいます。


今シーズンは、試合中のコミュニケーションが上手くいかないことも多かった。戦術も独特で、守備はずっとマンツーマンでついていくので、慣れるのに苦労しました。ただ、逆に言えばマークがはっきりとしているので、マークを外しがちな選手にはしっかりと言うようにしています。


日本とベルギーでは、コーチングの仕方も変わってきます。GKがハイボールをキャッチするときは、日本だったら「キーパー!」と言いますが、ベルギーでは自分の名前を言うんです。最初は慣れていくのに時間が必要でしたね。


周りの信頼を感じるようになったのは、第3節のスタンダールとのホームゲームです。移籍後2試合目の出場で、2-1と初勝利。僕も少し活躍することができました。


あとは、第12節のヘントとのホームゲームですね。試合は0-0だったんですが、自分たちのミスでボールを奪われて、僕と相手で1対2になる状況があって。そこで、相手が味方にパスを出すか出さないか迷わせて、最後はシュートを打たせて止めることができました。ホームであのセーブができたことで、サポーターからの信頼をすごく感じられました。


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●海外初挑戦で感じた日本との違い
外国人のGKは、雰囲気作りが上手いと感じます。どれだけ打っても入らなさそうに見せる。例えば能力的に優れている日本人選手と比べても、外国人のGKは自信やオーラがみなぎっているんです。


ベルギーリーグは展開が早いので、気を抜けません。チャンスだと思ったら、5秒後くらいにはピンチになっている時もあります。だからこそ、守備の機会も多くて面白いです。しかも、シントトロイデンは前半戦の被シュート数がリーグ1位。僕のセーブ数も1番多かったみたいですね(笑)。


シュートは、日本人のほうが上手いと思いますよ。強豪チームはもちろん上手いですけど、全体的に見るとそこまでレベルは高くないです。ただ、ドリブルなども含めてパワーはあります。


ヘンクとの3-3の試合のように、サポーターが乱入して中断することは、Jリーグではないでしょうね(笑)。一昨シーズンには、ピッチの人工芝を燃やされたこともあったそうです。今シーズンはスタンドにバリケードを張っていたんですが、3点ビハインドを追いついてから、相手サポーターがそれを破壊し始めて。警察犬も出動して、その人に噛みつこうとしていました。僕は目の前にいたので、大丈夫かなと心配していました。


実はその前にも1回、試合が中断したんですよ。ヘンクがゴールを決めたときに、相手GKがシントトロイデンのサポーターに向かってガッツポーズしたんです。それを見て、僕たちのサポーターが怒って物を投げて。僕は「もし追いついても絶対に喜ばないでおこう」と思いました。


相手サポーターに向かってガッツポーズは絶対に危ないですね。僕も1回アウェイでやってしまったことがあって、Instagramへの書き込みもすごかった。もう2度とやってはいけないなと。


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●今はサッカーに対する気持ちを“充電”する期間
ベルギーでプレーする中で、海外にいないとわからないことを知りましたし、日本がどれだけ優れた国なのかも感じました。同時に、ヨーロッパでもっとステップアップしたいという気持ちが強くなりました。シントトロイデンは選手の入れ替えが激しいですし、サポーターも移籍には慣れていると思います。ステップアップを目指している選手が多いですからね。


強いチームに行くことで、置かれる環境もより良くなっていくと思います。ヨーロッパは歴史があるので、古くて老朽化が進んだスタジアムも多いんです。シントトロイデンの本拠地は結構綺麗ですけどね。


あとはスタッフの数も変わってきます。シントトロイデンにも用具係はいるものの、Jリーグであれば用具係がやる仕事を選手が分担することもあります。それが悪いわけではないですが、チームによって環境の差はあると思います。


ベルギーリーグは、ステップアップには良い環境だと思います。いろいろなリーグのスカウトが見に来ていると聞きますし、1試合1試合をアピールの場と考えて打ち込むことができます。チャンピオンズリーグやヨーロッパリーグで戦っているチームとも対戦できますし、そこはヨーロッパの良いところだと感じています。


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レギュラーシーズンは残り1試合のところで中断してしまいましたが、僕は冬のキャンプで怪我をしてしまったので、まずはしっかりとコンディションを戻したいです。最終節の相手のアンデルレヒトは、前半戦で1-4と大敗しているので、リベンジを果たしたいと思っています。


皆さんは外に出られなったり、サッカーが見られなかったりしてウズウズしていると思います。ただ、僕たち選手や、サッカー関係者も置かれている状況は同じです。今はサッカーに対する気持ちを充電して、再開した時に全員で盛り上げていけたら良いなと思います。


【ターニングポイント-忘れられないあの試合-】
【#1】「広島の歴史が変わった」風間八宏が選ぶ現役最高の試合
【#2】JリーグMVP・仲川輝人の脳裏に残るのは、育ててもらった“古巣”との対戦
【#3】海外初挑戦での衝撃。シュミット ダニエルが臨んだ危険なダービー
【#4】「勝負強い鹿島」が生まれた日。岩政大樹が浦和を封じた2007年の第33節

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