ドイツサッカー史上最高額となる移籍金8000万ユーロでバイエルン入りしたリュカ・エルナンデスは、昨夏にバイエルンがダヴィド・アラバを手放す決断をするその後押しとなった存在であり、それまでベンチで座ることも少なくなかったフランス代表DFだが、これにより3シーズン目となった今季ではセンターバックの左側で固定されての起用となった。
そして前半戦終了時に、同選手はkickerとのインタビューにて「困難があればあるほどに、そこから抜け出してやろうという気持ちになってくるものなんだよ」とコメント。その言葉通りに負傷などの離脱があってもうまく対処しており、まさにピッチの内外にわたってファイターぶりをみせている。「僕はタフなプレースタイルで、多少の痛みはつきもの。でもキャリアの最後までこのスタイルは貫き通すよ」
そういったスタイルはバイエルンでは歓迎されるものであり、アトレチコの守備コンセプトの下で長年に渡り取り組んできた同選手は、堅牢で妥協のない対人戦と勤勉さ、そして優れた闘争心により首脳陣を納得。ただ彼に欠けたものは、その隣にリーダーシップを発揮してくれるような選手の存在だ。バックラインを編成してゲームの組み立てを担うような司令塔。エルナンデスはそういったタイプではなく、むしろあくせく働いてくれるハードワーカーだ。
まるで次のファン・ダイクのような扱いを受け、高額な移籍金、そして穴埋め役として求められたアラバという、異なる資質をもった前任者の存在などにより、エルナンデスが、それらの期待値に応えられているかという問題はあるだろう。ただそれでもバイエルンのCBの左側という点で適した人材であることに変わりはない。昨シーズンではその守備力に翳りがみられたかもしれないが、ただロスト後の対応などはエルナンデスのみならず、チーム全体に関わる問題でもあるのだ。